『介護保険』による訪問看護 ~介護報酬請求と利用者負担金~

この記事では介護報酬利用者負担金ついてお話ししていきます。請求関連の内容になるので、少し応用編です。

「介護報酬に何か制限はあるのか??」 「介護報酬の請求の流れは??」 「お金の支払いは??」などと言った疑問を解決をしていこうと思います。

この介護報酬と利用者負担金については、管理職や事務職以外のスタッフが触れる機会はあまりないと思いますが、どのスタッフも知っていて損はない知識です。

この機会に少しでも知識を増やし、今後に活かしていただけたら嬉しいです。ぜひ最後までお付き合いください!!

介護報酬の算定制限

訪問看護費の算定制限

訪問看護費は、一人の利用者に対して複数の訪問看護ステーションが算定することが出来ます。

2ヵ所以上の訪問看護ステーションからの訪問が可能となり、その場合、同一の主治医からそれぞれの訪問看護ステーションに「訪問看護指示書」の交付が必要です。(※主治医は2ヵ所に指示書を交付した場合でも利用者一人につき月1回のみの算定)

また、訪問看護費については、ケアプランに位置付けがされている場合、同一日であっても複数の訪問看護ステーションが算定出来ます。

加算の算定制限

複数の訪問看護ステーションが一人の利用者にサービス提供をしている場合、1ヶ所の訪問看護ステーションしか算定出来ない加算と、複数の訪問看護ステーションが算定出来る加算が存在します。以下、表を参照。

1ヶ所のステーションしか
算定出来ない加算
・緊急時訪問看護加算
・ターミナルケア加算
・退院時共同指導加算⇒2回算定が可能な利用者に対しては2ヵ所で算定可能
・特別管理加算Ⅰ、Ⅱ⇒算定は1ヶ所だが、事業所相互の合議で分配可能
複数のステーションが
算定可能な加算
・サービス提供体制強化加算
・複数名訪問看護加算(Ⅰ)(Ⅱ)
・長時間訪問看護加算
・初回加算
・夜間、早朝および深夜加算
・看護、介護連携強化加算
・特別地域訪問看護加算、中山間地域等における小規模事業所加算、
 中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算

入院(入所)日、退院(退所)日の訪問看護

  • 入院(入所日):算定可能
  • 退院(退所日):算定不可能(※特別管理加算対象者は算定可能)

入院(入所)日に実施した訪問看護については訪問看護費を算定することが出来ますが、医療機関からの退院日および介護老人保健施設もしくは介護医療院からの退所日は算定出来ません。ただし、特別管理加算の対象者については算定が可能です。

介護報酬請求の流れ

請求

レセプト(介護報酬明細書)で1ヵ月ごとに「保険請求します。

訪問看護に要する費用は、訪問看護費として介護保険法に基づいて支給されます。訪問看護費はひと月(暦月)単位で、介護給付費請求書と居宅サービス・地域密着型サービス介護給付費明細書により請求を行います。訪問看護を提供した翌月の1~10日までに請求を行います。

※審査ではケアマネジャー等が給付管理票に記載した単位数しか認められないため、サービス提供票と実績の単位数が異なる場合は双方で確認する必要があります。

単位数相違をなくすために

  • 介護保険ではケアマネジャー等が作成したサービス提供票・別表をもとにサービス提供します。その為、サービス提供票と違う日にち・時間に訪問看護を提供した場合はケアマネジャー等に報告するようにしましょう。(都度報告しなくても実績で大丈夫というケアマネジャー等もいらっしゃるので先に確認しておくと良いかもしれません)
  • ケアマネジャー等から月末に翌月のサービス提供票・別表が届きます。その予定を確認して訪問を行い、その実績を月初にケアマネジャー等に報告します。ただ、サービス提供票が送られてきた時点でこちらの予定と異なる場合もある為、相違を発見した際は訂正依頼を行いましょう。(特にサービス提供時間、サービスコードの間違いが多いです)

支払い

ケアマネジャーが提出した給付管理票とレセプト(介護報酬明細書)を突き合わせ、サービス提供の2ヵ月後に支払われます。

訪問看護費の請求者は訪問看護事業者で、請求先は市区町村の保険者です。介護報酬の審査・支払いの事務処理は、市区町村の委託した都道府県の国民健康保険団体連合会(以下、国保連)が行います。

請求した訪問看護費は国保連で「レセプト(介護報酬明細書)」「給付管理票」「保険者からの受給者台帳と事業所台帳」と照らし合わせられ、情報に相違がないか確認、審査されます。誤りがなければ「決定」され、請求のあった月の翌月に支払われます。

審査

国保連で審査され、誤請求は「返戻」給付管理票が無い場合は「保留」にされます。

返戻

  • 給付管理票に入力されている単位数と訪問看護事業所が請求した単位数が異なる場合
  • 利用者情報の間違いなどにより突き合わせた出来なかった場合

上記の場合、不適正のため「返戻」となり、お金は支払われません。このような場合には、ケアマネジャー等と確認し、間違っている部分を修正して翌月に再請求します。

保留

  • 訪問看護事業所からレセプト(請求明細書)は提出されているが、給付管理票が提出されていなかった場合

上記の場合、審査が行われず、支払いはされずに「保留」となります。その後、2ヵ月間請求情報は保留され、その間に給付管理票が提出され、審査が通れば国保連から訪問看護事業所へ支払いが行われます。

有効期限

保険請求の有効期限は2年間、誤請求の返戻は5年間となります。

訪問看護費の支払いを受ける権利は2年経過すると消滅します。請求し忘れた報酬については2年までであれば請求が可能です。

また、誤請求の返戻は5年間です。つまり、一旦請求審査を通り、支払われている訪問看護費について誤請求が発見された場合は5年前まで遡って返戻されるので、5年分の請求資料は保管しておくことが大切です。

利用者の負担金

利用者が支払う負担金

利用者は、訪問看護ステーションから訪問看護を受けた場合、利用料として負担金を支払います。

介護保険の場合、利用料は「区分支給限度額内の利用料」「区分支給限度額を超える利用料」「交通費」に分けられます。また、保険給付対象とならない費用については、訪問看護ステーション独自のオプション料金として設定します。

訪問看護ステーションは訪問看護を開始する前に利用者に対して利用料についての説明を行い、利用者の同意を得る必要があります。また、費用が記載された領収書を交付する必要があります。

区分支給限度額内の場合

介護保険サービスを利用するためには、要介護または要支援認定を受ける必要があり、居宅サービスでは、要介護状態区分ごとに区分支給限度額が定められています。区分支給限度額内のサービス利用分は、訪問看護費の所得に応じて1割、2割、3割を利用料として負担します。

要介護度と1ヵ月当たりの支給限度額

  • 要支援1:5,003単位(50,030円~55,000円程度)
  • 要支援2:10,473単位(104,730円~115,000円程度)
  • 要介護1:16,692単位(166,920円~184,000円程度)
  • 要介護2:19,616単位(196,160円~216,000円程度)
  • 要介護3:26,931単位(269,310円~297,000円程度)
  • 要介護4:30,806単位(308,060円~340,000円程度)
  • 要介護5:36,065単位(360,650円~398,000円程度)

※過去に保険料を滞納していた期間がある人は、一定期間(滞納期間に応じて期間は異なる)、自己負担が3割に引き上げられます。

※利用者の端数処理は、単位数に乗じる度に四捨五入し、現金では小数点以下切り捨てとなります。

区分支給限度額を超える場合

区分支給限度額を超えて利用したサービスの利用料は、全額自己負担となります。この場合、単位数表に基づく額や、医療保険の訪問看護基本療養費の額と不合理な差額があってはならないとされています。

通常の訪問看護の実施以外への訪問の場合

利用者の希望により、通常の実施地域以外の居宅において訪問看護を行う場合は、それに要した「交通費」を徴収することが出来ます。

※通常中山間地域等に居住している利用者へのサービス提供加算を算定する場合は、交通費の支払いを受けることが出来ません。

保険給付とならない費用

保険給付対象にならないサービスについては、訪問看護ステーション独自のオプション料金を定めることができます

オプション料金については訪問看護費の額を基準とした、社会常識上、妥当で適切な額でなければなりません。また、保険給付の対象となっているサービスと明確に区別されないような費用の支払いは認められておらず、公平かつ利用者の保護の観点からも、不合理や差が生じないように配慮する必要があります。

具体的な利用料金設定

  • 訪問看護が平均的な時間(1時間30分)を超える場合の超過分(長時間訪問看護加算を算定する場合は除く)
  • おむつ代などの日常生活上必要な物品の費用
  • 死後の処置の費用

保険請求する際の書類

介護報酬の請求は、介護給付費請求書居宅(介護予防)サービス介護給付費明細書(レセプト)を作成し、提出することによって行われます。

審査・支払事務は、支給限度額管理の必要などから、電算化して処理することになっています。従って、請求書と明細書は、原則として磁気媒体(CDやフロッピー)または伝送により行います。

おわりに

今回は「介護報酬」と「利用者負担金」についてお話ししました。今回は応用編で請求関連の内容だったため、これまでより難しいところ、聞きなれないところもあったかと思います。管理職や事務職など、訪問業務以外でのレベルアップを考えている人は覚えておくと良いかもしれませんね!!

ここでは出来るだけ簡潔に、大切な部分を抜粋して書いています。この記事に書いてあることが全てではないので、別の記事も合わせて読んでいただけるとより理解が深まると思います。

それでは今回はここまでです!!これからも皆さんの力になれる情報を発信していきますので引き続きよろしくお願いいたします。