訪問看護とは ~その仕組みを詳しく解説!!~

住み慣れた自宅で出来るだけ長く生活をしたい 病気があっても家族と一緒に暮らしたい 自宅で最期を迎えたいなどなど、このような想いがあり、在宅で医療を必要とする方は沢山いらっしゃいます。

ただ、医療が必要なことは分かっていても「何をすれば良いのか」 「家族だけで出来るのか」 「一人暮らしだけど大丈夫なのか」と、色々な不安が出てくると思います。

そこで、それらの不安を出来る限り取り除き、ご希望に寄り添って医療ケアを行うのが訪問看護です!!

この記事では訪問看護とはどのような支援を行い、どのような仕組みで成り立っているのか説明していきます!!

訪問看護とは

訪問看護とは、看護師や理学療法士等が療養者の居宅を訪問し、医療行為や健康・生活面における専門的なケアを提供するサービスです。

訪問看護を必要とする全てのひとを対象とし、赤ちゃんから高齢者まで幅広く利用することが出来ます。

病気や障がいがあっても、医療機器を使用していても、住み慣れた自宅や地域で安心して生活できるように多くの職種と協働しながら支援を行っています。

どんな時に利用するのか

どなたも年齢を重ねるにつれて身体機能が低下し、いつ病気や怪我をしてもおかしくはありません。ただ、現在は医療が発達している為、病気や怪我をしても自宅療養が可能となり、医療機器を使用していても自宅で生活することが出来るようになりました。

そこで気になるのが「退院出来たものの、自宅で病気や怪我とどう生活すれば良いのか」というところです。

訪問看護ではそのような不安を解消するために「専門的な治療やアドバイス」「主治医とのやり取り」「療養環境の調整」など、様々な場面で在宅生活を送りやすくする支援をします。

利用する訪問看護ステーションは、状態、状況に合わせて利用者が選択することが可能です。(ex.「急変のリスクがある場合は緊急対応をしている事業所」「身体機能低下予防で機能訓練を多く取り入れたい場合はリハビリテーションを受けられる事業所」etc.)

訪問看護が提供するサービス内容

訪問看護を行うためには、主治医からの訪問看護指示書や、ケアマネジャーが作成するケアプランが必要となります。それらに沿って、訪問看護計画を作成し、利用者や家族の同意の元、以下のようなサービスを提供します。

主な看護内容

  1. 状態観察:病気や障碍の状態、血圧・体温・脈拍等バイタルサインチェック、異常の早期発見etc.
  2. 服薬管理:薬の作用・副作用の説明、内服方法の指導、残薬の確認、服薬管理方法の検討etc.
  3. 医療処置:点滴、カテーテル管理(胃瘻、バルーンなど)、褥瘡や創傷処置、疼痛コントロールetc.
  4. 医療機器管理:経管栄養、在宅酸素、人工呼吸器等の管理etc.
  5. 入退院時の支援:入退院時の医療ケア等引継ぎ、ケアマネジャー等関係各所との連携etc.
  6. 日常生活のお世話:身体清拭、食事や排泄等の介助・指導、洗髪、入浴介助、整容etc.
  7. 認知症や精神疾患ケア:生活リズム調整、コミュニケーション支援、介護者支援、自立支援etc.
  8. 介護予防:健康状態悪化の予防、低栄養や運動機能低下を防ぐアドバイスetc.
  9. ご家族様介護支援:介護方法のアドバイス、病気や介護についての不安相談、精神的援助etc.
  10. リハビリテーション:拘縮予防や機能回復、ADL・IADLの維持・向上、外出、自立・復職支援etc.
  11. 生活環境調整:福祉用具(ベッド、ポータブルトイレ、手すり、車椅子)などの利用、動線整備etc.
  12. ターミナルケア:癌末期や終末期を自宅で過ごせるように支援、環境調整、精神的援助etc.

訪問看護サービス提供の流れ

訪問看護サービスは、主治医やケアマネジャー、他のサービス事業者などと連携しながら利用者やその家族に対して訪問看護を行います。

訪問看護は「主治医からの訪問看護指示書」の内容に従いサービス提供を行うため、サービスを開始する際は「主治医からの訪問看護指示書」が不可欠となります!!

また、要支援、要介護認定を受けている利用者についてはケアマネジャーとの連携が必要であり、ケアプランの作成が必要となります。

訪問看護ステーションからは訪問看護計画書と報告書を主治医や関係各所へ提出することが必要となります。

訪問看護指示書とは

訪問看護の利用対象者は、その主治医が訪問看護の必要性を認めた者に限られ、サービス開始時には主治医の発行する訪問看護指示書が必要となります。

複数の訪問看護ステーションから訪問を行う際は、各訪問看護ステーションへ訪問看護指示書の交付が必要となり、訪問看護指示書を交付する主治医は原則1人となっています。

利用対象者

利用対象者は、「介護保険対象者」と「医療保険対象者」に分かれます。「介護保険対象者」は、原則、要介護または要支援の介護認定を受けた者で、「医療保険対象者」は、介護保険の要介護者に当てはまらない者となります。

介護保険対象者◆

介護保険対象者は、要介護認定の申請を行い、要支援または要介護の認定を受けた者です。要介護認定を申請できるのは、①第1号被保険者(65歳以上)②第2号被保険者(40歳以上65歳未満)で16特定疾病に当てはまる者が対象となります。

16特定疾病とは

  1. がん(がん末期)
  2. 関節リウマチ
  3. 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
  4. 後縦靭帯骨化症
  5. 骨折を伴う骨粗鬆症
  6. 初老期における認知症
  7. 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病(パーキンソン病関連疾患)
  8. 脊髄小脳変性症(SCD)
  9. 脊柱管狭窄症
  10. 早老症
  11. 多系統萎縮症(MSA)
  12. 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
  13. 脳血管疾患
  14. 閉塞性動脈硬化症(ASO)
  15. 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  16. 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

医療保険対象者◇

医療保険対象者は、原則、介護保険の要介護認定を受けていない者です。具体的には、介護保険未申請・非該当者、64歳までの医療保険加入者で主治医が訪問看護を必要と判断した者です。

☆介護保険対象者でも医療保険が適用される場合

要介護認定を受けているひとは介護保険が優先的に適用されますが、要支援・要介護者であっても、疾病、状態、急性増悪時等で医療保険が適用されることがあります。

①厚生労働大臣が定める疾病等(別表7)

厚生労働大臣が定める疾病等に該当する場合、要介護認定を受けていても医療保険が適用されます。

厚生労働大臣が定める疾病等(別表7)

  1. 末期の悪性腫瘍
  2. 多発性硬化症(MS)
  3. 重症筋無力症
  4. スモン
  5. 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
  6. 脊髄小脳変性症(SCD)
  7. ハンチントン病
  8. 進行性筋ジストロフィー症
  9. パーキンソン病関連疾患[進行性核上性麻痺/大脳皮質基底核変性症/パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上であって、生活機能障害度がⅡ度またはⅢ度のものに限る)]
  10. 多系統萎縮症(MSA)[線条体黒質変性症/オリーブ橋小脳萎縮症/シャイ・ドレーガー症候群]
  11. プリオン病
  12. 亜急性硬化性全脳炎
  13. ライソゾーム病
  14. 副腎白質ジストロフィー
  15. 脊髄性筋萎縮症
  16. 球脊髄性筋萎縮症
  17. 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
  18. 後天性免疫不全症候群
  19. 頸髄損傷
  20. 人工呼吸器を使用している状態

②厚生労働大臣が定める状態等(別表8)

厚生労働大臣が定める状態等に該当する場合、要介護認定を受けていても医療保険が適用されます。

厚生労働大臣が定める状態等(別表8)

  •  (特別管理加算Ⅰの対象)
    • 在宅悪性腫瘍患者指導管理を受けている状態
    • 在宅気管切開患者指導管理を受けている状態
    • 気管カニューレを使用している状態
    • 留置カテーテルを使用している状態
  •  (特別管理加算Ⅱの対象)
    • 在宅自己腹膜灌流指導管理を受けている状態
    • 在宅血液透析指導管理を受けている状態
    • 在宅酸素療法指導管理を受けている状態
    • 在宅中心静脈栄養法指導管理を受けている状態
    • 在宅成分栄養経管栄養法指導管理を受けている状態
    • 在宅自己導尿指導管理を受けている状態
    • 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理を受けている状態
    • 在宅自己疼痛管理指導管理を受けている状態
    • 在宅肺高血圧症患者指導管理を受けている状態
    • 人工肛門、人工膀胱を造設している状態
    • 真皮を超える褥瘡の状態(①NPUAP分類Ⅲ度またはⅣ度、②DESIGN-R分類D3、D4またはD5)
    • 点滴注射を週3日以上行う必要が認められる状態

特別訪問看護指示書の交付時

急性増悪等により一時的に訪問看護が必要と主治医が判断した場合、「特別訪問看護指示書」が交付され、交付された日から14日以内は医療保険が適用されます。

精神科訪問看護指示書の交付時

精神疾患を有する利用者またはその家族等に対して、精神科を担当する主治医からの精神科訪問看護指示書に基づき訪問看護を行った場合は医療保険が適用されます。

訪問看護を提供できる職種

訪問看護を行える機関は、訪問看護ステーションと病院・診療所です。どちらも介護保険と医療保険で訪問看護を提供します。

①訪問看護ステーションの場合

訪問看護を提供する従事者のうち単独で訪問できる職種は、保健師・看護師・准看護師・助産師(医療保険のみ)、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)となります。

一方、看護師等と同行して複数名で訪問できる職種は、看護補助者・精神保健福祉士(PSW、医療保険のみ)となります。

②病院・診療所の場合

訪問看護を提供する従事者は、保健師・看護師・准看護師・助産師(医療保険のみ)・精神保健福祉士(PSW)となります。

理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)が訪問をする場合は、「訪問看護」ではなく「訪問リハビリテーション」となります。

おわりに

今回は訪問看護の仕組みと基礎知識についてお話ししました。訪問看護で何が出来るのか、どのような保険や制度を使っているのか、色々決まりなど多くて難しかったと思います。

訪問看護ステーションでは、訪問看護の仕組みがよく分からなくても安心して利用できるようサポート体制をしっかり整えています。訪問看護の利用を考えている方や訪問看護に興味のある医療従事者の方が安心して訪問看護に関われるようになれれば嬉しいです。

ここでは出来るだけ簡潔に、大切な部分を抜粋して書いています。この記事に書いてあることが全てではないので、別の記事も合わせて読んでいただけるとより理解が深まると思います。

それでは今回はここまでです!!これからも皆さんの力になれる情報を発信していきますので引き続きよろしくお願いいたします。