『介護保険』による訪問看護 ~加算と減算~

「加算」「減算」という言葉を聞くことはあっても、何が対象で、どのようなときに適用されるのかは、普段関わりがないと説明し難いですよね。。。

この記事では介護保険を使用した訪問看護における「加算」「減算」についてお話ししていこうと思います。

この加算減算についても色々とルールが多くて難しい内容になりますが、ぜひ最後までお付き合いください!!

支給限度額基準額に”含まれる”加算

支給限度基準額に含まれる加算は以下の7種類です。ひとつずつ説明していきます。

初回加算

初回加算=300単位/回

初回加算は、新規に訪問看護計画を作成した利用者に対して訪問看護を提供した場合、初回の訪問看護を実施した月に加算可能となります。

留意点

  • 複数の訪問看護ステーションが関わる場合、どの事業所でも算定が可能。
  • 退院時共同指導加算を算定する場合、初回加算の算定は出来ない。
  • 要介護→要支援、要支援→要介護の区分変更時にも算定は可能。
  • 暦月で2ヵ月間訪問していなかった利用者に対し、新たに訪問看護計画書を作成した場合も算定は可能。
  • 看護職員(准看護師を除く)と理学療法士等が連携し、訪問看護指示書を作成していれば、准看護師や理学療法士等が訪問しても算定は可能。

退院時共同指導加算 

退院時共同指導加算=600単位/回

退院時共同指導加算は、病院や介護老人保健施設等に入院・入所中の者が退院・退所する際、訪問看護ステーションの看護師等が主治医などと連携して在宅生活での療養上必要な指導を行い、その内容を文書にて提供した場合に加算可能となります。

留意点

  • 原則、一人の利用者に対して月一回の算定だが、特別管理加算を算定出来る状態の利用者については月二回算定することが可能。
  • 月二回算定出来る利用者に複数の訪問看護ステーションが共同指導を行う場合、一回ずつの算定も可能。
  • 医療保険において算定する場合や初回加算を算定する場合は算定出来ない。
  • 准看護師は算定出来ない。
  • 初回の訪問看護実施日に算定するが、算定月の前月に共同指導を行っている場合も算定は可能。
  • 共同指導を実施した場合、その内容を訪問看護記録書に記録することが必要。
  • 介護保険で請求した場合、同月に定期巡回、随時対応型訪問介護看護、複合型サービス、医療保険における当該加算は算定することが出来ない。
  • 特別の関係にある医療機関、介護老人保健施設、介護医療院との共同指導時も算定は可能。

複数名訪問加算

  • 利用者の身体的理由により一人の看護師等による訪問看護が困難と認められる場合
  • 暴力行為、著しい迷惑行為、器物破損行為が認められる場合
  • その他利用者の状況等から判断して、上記2項目に準ずると認められる場合

複数名訪問加算(Ⅰ)30分未満(254単位/回)、30分以上(402単位/回)

上記いずれかの基準を満たし、利用者や家族の同意を得て、ひとつの事業所から同時に複数の看護師等が一人の利用者に訪問看護を行った場合に加算可能となります。

複数名訪問加算(Ⅱ)30分未満(201単位/回)、30分以上(317単位/回)

看護師等と看護補助者が同時に訪問看護を行った場合に加算可能となります。

※看護補助者・・・看護師等の指導の下に療養上の世話、看護物品の管理等、看護業務の補助を行う者

留意点

  • 複数名訪問加算(Ⅰ)の場合、訪問実施者は両名とも看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士でなければなりません。
  • 報酬請求における30分未満、30分以上の判断は、一人目の看護師等の訪問時間によらず、二人目の看護師等が必要な時間で行う。
  • 看護補助者の資格は問わないが、訪問看護事業所に雇用されている必要がある。従事者の変更届の提出は不要。

長時間訪問看護加算

長時間訪問看護加算=300単位/回

特別管理加算の対象となる利用者に対して、1時間以上1時間30分未満の訪問看護を行った後に引き続き訪問看護を行い、通算1時間30分以上の訪問看護を行う場合、1回の訪問看護につき加算することが出来ます。

留意点

  • ケアプラン上、1時間30分以上の訪問時間が位置付けられていることが必要であり、アクシデントなどによりサービス提供時間が1時間30分を超えた場合は算定出来ない。
  • 当該加算を算定する場合、別に定めた介護保険外の利用料を徴収することは出来ない。

夜間・早朝および深夜加算 

夜間・早朝および深夜加算=夜間25%増、早朝25%増、深夜50%増

夜間(18~22時)、早朝(6~8時)、深夜(22~6時)に計画的な訪問看護を行った場合に算定する加算となります。ケアプランや訪問看護計画上、サービスの開始時間が加算の対象となる時間帯にある場合に加算します。

留意点

  • 加算対象となる時間帯におけるサービス提供時間が、全体の時間に対してごく僅かな場合は算定出来ない。
  • ひと月以内の2回目以降なら緊急訪問でも算定が可能。

看護・介護職員連携強化加算 

看護・介護職員連携強化加算=250単位/回

訪問看護事業所の看護職員が、訪問介護事業所の介護職員等に対し、痰吸引等の業務が円滑に行われるよう痰吸引等に係る計画書や報告書の作成および緊急時対応についての助言を行うとともに、下記の①または②を実施した場合に加算可能となります。。

  • ①訪問介護職員等に同行し、利用者の居宅において業務の実施状況について確認した場合。
  • ②利用者に対する安全なサービス提供体制整備や連携体制確保のための会議に出席した場合。
留意点

  • 上記①または②を実施した日が属する月の初日の訪問看護実施日に加算する。
  • 緊急時訪問看護加算を届出している訪問看護事業所が算定可能。
  • 訪問介護職員等の痰吸引等に係る基礎的な技術取得や研修目的で同行訪問を実施した場合は算定出来ない。
  • 要支援者には算定出来ない。

看護体制強化加算 

看護体制強化加算(Ⅰ)=600単位/月   看護体制強化加算(Ⅱ)=300単位/月

医療ニーズの高い利用者への訪問看護体制を強化する観点から、以下の基準に適合しているとして都道府県知事に届け出た場合に月1回加算可能となります。①~③は(Ⅰ)(Ⅱ)共通。

  • ①算定日が属する月の前6ヵ月において、実利用者総数÷緊急時訪問看護加算を算定した実利用者が50%以上であること
  • ②算定日が属する月の前6ヵ月において、実利用者総数÷特別管理加算を算定した実利用者が30%以上であること
  • ③医療機関と連携のもと、看護職員の研修派遣など相互人材交流を通じて在宅療養支援能力の向上を支援し、地域の訪問看護人材の確保、育成に寄与する取り組みを実施していることが望ましい
  • ④算定日が属する月の前12ヵ月において、ターミナルケア加算を算定した利用者が5名以上(Ⅰ)、1名以上(Ⅱ)であること
留意点

  • 看護師等が加算の内容について利用者、家族に説明し同意を得る
  • 実利用者総数は、前6ヵ月において2回以上訪問看護を利用、または加算算定した場合、どちらも”1”と数える。
  • 要介護者に対する加算の場合、(Ⅰ)または(Ⅱ)いずれか一方を届け出る(利用者ごとの選択は不可)
  • 上記①②④については、継続的に所定の基準を維持し、割合や人数は台帳等に毎月記録する
  • 所定の基準を下回った場合、直ちに都道府県知事に届け出る
  • 介護予防訪問看護については、④の要件はなく「看護体制強化加算」で届け出る。

支給限度基準額に”含まれない”加算

支給限度基準額に含まれない加算は以下の8種類です。ひとつずつ説明していきます。

緊急時訪問看護加算 (574単位/月)

緊急時訪問看護加算=574単位/月

利用者またはその家族などから電話等により看護に関する意見を求められた場合に常時対応できる体制にあるステーションにおいて、計画的に訪問することとなっていない緊急訪問を行う場合に月1回加算することが可能となります。加算を算定する場合、利用者または家族などに説明し、同意を得る必要があります。

留意点

  • 一人の利用者に対し、1ヵ所のステーションに限り算定が可能
  • ひと月以内の2回目以降の緊急訪問については、夜間、早朝、深夜の訪問看護に係る加算が算定可能(特別管理加算算定者とは限らない)
  • 月途中からでも算定は可能だが、月途中までしか体制を提供出来なかった場合は算定出来ない。

特別管理加算(Ⅰ)(Ⅱ) 

特別管理加算(Ⅰ)=500単位/月   特別管理加算(Ⅱ)=250単位/月

特別な管理を必要とする利用者に対して、訪問看護の実施に関する計画的な管理を行った場合に月1回加算が可能となります。利用者の状態に応じて(Ⅰ)と(Ⅱ)に分けられます。

※この加算の内容は厚生労働大臣が定める状態等(別表8)に該当します。

特別管理加算(Ⅰ)
(500単位/月)
・在宅悪性腫瘍患者指導管理を受けている状態
・在宅気管切開患者指導管理を受けている状態
・気管カニューレを使用している状態
・留置カテーテルを使用している状態
特別管理加算(Ⅱ)
(250単位/月)
・在宅自己腹膜灌流指導管理を受けている状態
・在宅血液透析指導管理を受けている状態
・在宅酸素療法指導管理を受けている状態
・在宅中心静脈栄養法指導管理を受けている状態
・在宅成分栄養経管栄養法指導管理を受けている状態
・在宅自己導尿指導管理を受けている状態
・在宅持続陽圧呼吸療法指導管理を受けている状態
・在宅自己疼痛管理指導管理を受けている状態
・在宅肺高血圧症患者指導管理を受けている状態
・人工肛門、人工膀胱を造設している状態
・真皮を超える褥瘡の状態(①NPUAP分類Ⅲ度またはⅣ度、②DESIGN-R分類D3、D4またはD5)
・点滴注射を週3日以上行う必要が認められる状態
留意点

  • 一人の利用者に対し1ヵ所の事業所に限り算定可能だが、2ヵ所以上の事業所から訪問看護を提供している場合、その分配は事業所相互の合議に委ねられる。
  • 緊急時訪問看護加算の届出は算定要件ではないが、電話等により看護に関する意見を求められた場合に常時対応出来る体制を整えていることが望ましい。
  • 「真皮を超える褥瘡の状態にある者」に対して算定する場合は、定期的(週1回以上)に褥瘡の状態観察、アセスメント、評価(深さ、滲出液、大きさ、炎症、感染、肉芽組織、壊死組織、ポケットetc.)を行い、褥瘡の発生部位や実施したケアについて訪問看護記録書に記録する。
  • 留置カテーテルとは、チューブ、カテーテル、ドレーン、カニューレ、胃瘻などが該当するが、留置しているだけでは算定出来ず、計画的に管理している必要がある。
  • 「点滴注射を週3日以上行う必要があると認められる状態」とは、主治医が点滴注射を週3日以上行う必要がある旨の指示を行い、かつ、訪問看護ステーションの看護職員が週3日以上点滴注射を実施している状態をいう。
  • 「点滴注射を週3日以上行う必要があると認められる状態」の利用者に対して算定する場合は点滴注射の実施内容を記録する。
  • 理学療法士等による訪問看護のみを利用している場合は算定出来ない。

ターミナルケア加算 (2000単位)

ターミナルケア加算=2000単位

訪問看護ステーションが下記の要件を満たし、在宅で死亡した利用者について、死亡日および死亡日前14日以内に2日以上ターミナルケアを実施している場合(死亡日および死亡日前14日以内に医療保険による訪問看護を受けている場合は1日以上)に加算が可能となります。

ターミナルケアを実施中に、死亡診断を目的として医療機関へ搬送し、24時間以内に死亡が確認された場合も含みます。

  • ①主治医との連携の下、訪問看護におけるターミナルケアに係る計画および支援体制について、利用者およびその家族に対して説明を行い、同意を得ている
  • ②24時間対応しており、必要に応じて訪問看護を行える体制を整備している
  • ③「人生の最終段階における医療、ケアの決定プロセスにおけるガイドライン」等の内容を踏まえ、利用者と話し合う
  • ④利用者本人の意思決定をもとに、関係職種と十分に連携する
  • ⑤ターミナルケアの提供について、訪問看護記録書に記録している(ターミナルケアの各プロセスにおいて、利用者や家族の意向を把握し、アセスメントや対応の経過など)
留意点

  • 一人の利用者に対し、1ヵ所の事業所に限り算定可能。
  • 利用者の死亡月に加算するが、ターミナルケアを最後に実施した日の属する月と死亡月が異なる場合は死亡月に算定する
  • 介護予防訪問看護(要支援者)は算定出来ない。
  • 一つの事業所において、医療保険または介護保険対象の訪問看護をそれぞれ1日以上実施した場合は、最後に実施した保険制度において算定する

サービス提供体制強化加算 (6単位/回、50単位/回)

サービス提供体制強化加算=6単位/回50単位/回

勤続年数3年以上の職員を30%以上配置し、下記の3つの要件を満たしていると都道府県知事に届け出ている場合に加算が可能となります。なお、定期巡回、随時対応型訪問介護看護事業所と連携して訪問看護を行う場合は50単位/月となります。

  • ①看護師等ごとに研修計画を作成し、該当計画に従い研修(外部における研修を含む)を実施または実施を予定
  • ②利用者に関する情報、もしくはサービス提供に当たっての留意事項の伝達、または看護師等の技術指導を目的とした会議を定期的(1ヵ月1回程度)に開催
  • ③すべての看護師等に対し、健康診断等を定期的(少なくとも年1回)に実施
留意点

  • 看護師等とは、看護師、保健師、准看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士。
  • 理学療法士等の訪問看護も算定可能
  • 職員割合の算出は、常勤換算により算出した前年度(3月を除く)の平均を用いる。
  • 勤続年数とは、各月の末日時点における勤続年数をいう
  • 勤続年数には、同一法人の経営する他の事業所や病院、施設も含めることが可能。

規定された地域への訪問(3種類) 

それぞれ規定された地域に訪問看護事業所が所在する場合に規定の割合を加算出来ます。

➤特別地域訪問看護加算 (15%増)

  • ①離島振興対策実施地域(離島振興法)
  • ②奄美群島
  • ③振興山村(山村振興法で指定する地域)
  • ④小笠原諸島
  • ⑤沖縄振興特別措置法に規定する離島
  • ⑥人口密度が希薄、交通が不便等の理由で、サービス確保が著しく困難な地域として厚生労働省が定めた地域

➤中山間地域等における小規模事業所加算 (10%増) (特別地域訪問看護加算の対象地域を除く)

  • ⑦豪雪地帯、特別豪雪地帯(豪雪地帯対策特別措置法)
  • ⑧辺地(辺地に係る公共的施設の総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律)
  • ⑨半島振興対策実施地域(半島振興法)
  • ⑩特定農山村地域(特定農山村法)
  • ⑪過疎地域(過疎地域自立促進特別措置法)

➤中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算 (5%増)

  • 上記①~⑤および⑦~⑪の地域
  • ※この加算を算定する利用者については、交通費の支払いを受けることは出来ない

減算

訪問看護事業所と同一建物に居住する利用者への訪問

以下の対象となる建物に居住する利用者に対して、訪問看護(介護予防)を実施した場合、①③の者については10%、②の者については15%に減算された単位数を算定します。

  • ①事業所と同一敷地内または隣接する敷地内に所在する建物に居住する者(②に該当する場合を除く)
  • ②上記の建物のうち、当該建物に居住する利用者の人数がひと月あたり50人以上の場合
  • ③上記①以外の範囲に所在する建物に居住する者(当該建物に居住する利用者の人数がひと月あたり20人以上の場合)

おわりに

今回は介護保険給付における「加算」「減算」とお金に関わることについてお話ししました。この加算減算は介護保険だけでなく医療保険にも存在し、算定ルールが異なるものもあるのでとても難しい内容だと思います。

一度で暗記するのは難しいので、「こんな加算あったな」程度で知っておいて、必要な時にこの記事で詳細を思い出していただけると嬉しいです。

ここでは出来るだけ簡潔に、大切な部分を抜粋して書いています。この記事に書いてあることが全てではないので、別の記事も合わせて読んでいただけるとより理解が深まると思います。

それでは今回はここまでです!!これからも皆さんの力になれる情報を発信していきますので引き続きよろしくお願いいたします。